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2011年8月26日 (金)

読んだ! 『タイガー・マザー』

読み終えました。
今年初めに欧米で大子育て論争を引き起こした
タイガー・マザー。

著者のエイミー・チュア女史は
中国系2世のアメリカ人。
移民してものすごい苦労した両親に、
ものすごい厳しく(そして愛情たっぷりに……インタビュー談)育てられ、
経済的・社会的地位を得ることができ、
現在イェール大学法科大学院の教授、という人です。

この本が話題になったのは、
彼女のやり方が(欧米の一般的な子育てから見たら)
超スパルタ方式で、しかも記事になった
新聞の見出しにはにはあたかも中国式が欧米式より優れている、
と書かれていたからのようです。

中国式VS欧米式で大激論になったときに
必ずと言っていいほど話題に上るのが、娘二人への禁止事項のリスト。

・「お泊り会」に行ってはいけない
・友達と遊びに行ってはいけない
・学芸会の芝居に出てはいけない
・学芸会の芝居に出ないことに文句を言ってはいけない
・テレビを見てはいけないし、コンピューターゲームもしてはいけない
・課外活動の内容を自分で選んではいけない
・成績は全教科でA以上をとること
・演劇と体育以外の全教科で常に一位の成績を取ること
・ピアノとバイオリン以外の楽器を演奏してはならない
・ピアノとバイオリンは必ず練習すること

(『タイガー・マザー』P11より引用)

これだけでもすごいのですが、
読み進むにつれ、ピアノとバイオリンのすさまじい練習ぶりや、
チュア女史の徹底した「監視」ぶりも、ものすごいです。

私も長年ピアノをやっていましたが、母にあと5回弾きなさいと
「正」マークをつけられながら、(たった5回なのに)嫌々
練習していたことを思うと、
チュア女史の娘たちはどんなにつらかったろう、
と勝手に想像し胸が苦しくなりました。

それに、チュア女史は、よく「中国式vs欧米式」という形で二つを比較し、
中国式がとても優れていることを強調しています。
私は欧米の子育て本を探して翻訳するという
仕事をしているので、自然と読む子育て本は欧米式が多くなり、
私自身の子育ても欧米式にかなり影響されていると思います。
だから、それを真っ向から否定されているような気がして
なんだか釈然としませんでした。

でも結局、著者は、ティーンエージになった次女の反抗に
どうにも対応できなくなり、
それまでは絶対的に中国式の子育てに自信を持っていたけれど、
欧米式のやり方にも目を向けるべきで、
中国式と欧米式のやり方のよいバランスを保つべきだ、
ということに気づきます。

そのあたりの著者の変わっていく様はとっても面白いのですが、
前半のスパルタが強烈過ぎて、後半の謙虚になる部分の
印象が薄くなっている感じ。
それが残念です。

とにかく、この本を読み終えたときは
なんという恐ろしい母親だ、というのが正直な感想でした。
そして、長女は今大学生だと思いますが、(次女は高校生かな?)
これから先、今までのプレッシャーが
精神面でマイナスに出てきたりしないだろうか、
と他人事ながら気になりました。
そして、私がこんな人の子どもじゃなくてよかった、とまでcoldsweats01

でも!
怖いもの見たさか、ここまで徹底してスパルタを貫く人って
どんな人だろう?と思い、YouTubeで検索をしてみました。
そうしたら、いっぱい出てきましたよ~、
ニュースやトーク番組の出演の映像が!
アメリカ国内はもちろん、イギリスの番組にも出ていて、
イギリスの母親ネットワークの代表者(つまりは欧米式マザー)との
ガチンコ対決(……を番組ではもくろんでいたのかもしれないけど
意外と穏やかに終わりました)もありました。

興味深かったのは、中国語の翻訳版が著者の手に渡ったときの話。
原書のタイトルBattle Hymn of the Tiger Mother
(直訳すると「虎母の闘争賛美歌」)が、
中国語では「イェール大学教授の子育て」に
なっていて、著者もドン引き(^^;)だったとか。

もう一つ、この本が出版されたとき、Wall Street Journalに
「Why Chinese Mothers Are Superior 」
(なぜ中国人マザーのほうが優れているのか)
という見出しで記事が出たのですが、
著者はこんな見出しになるのを知らなくて、これまたビックリしたと。
最初は中国式に絶対の自信を持っていたけれど、
次女に反抗されて自分の間違いに気づいて
欧米式からも学ぼう、と自分が変わったのに、
こんな見出しになっていたので困った、という話でした。
しかも記事には、上記の禁止リストが引用されていたので、
バッシングもあってちょっとつらかったみたい。

YouTubeで著者を見ていると、(イギリス番組の司会者?も言ってたけど)
読んだときとしゃべるのを見たときの印象が全然違って、
しゃべってるときのほうが良かったです。
なんだ、愛情たっぷりの、芯が「超」しっかりしたお母さんじゃんって感じ。

どの番組でも、著者が力説していた(せざるを得なかった)のは
この本は、子育てのハウツー本じゃなくて、自分の子育て史、
子育ての思い出本なのだ、ということ。
特に前半のように極端にやるのは、ハウツーどころか
やらないほうがいいよって感じ、と言ってました。

あ~書いてたらキリがないわ、
もう終わります。
長々と駄文を読んでくださってありがとうございました!

あっ、ちなみに私が読んだのは和訳本です。
原書で読む気力は今はありましぇん(^^;)
翻訳の観点からみると、音楽史はもちろん、
ピアノとバイオリンの演奏技術や、白血病の治療方法、
犬の種類や特徴まで知らなくてはいけなくて、
幅広い調査が必要そうな、すごく大変そうな本だと思いました。
さすがは齋藤孝先生です!

ではほんとに終わります。
ありがとうございましたhappy01heart04
(最後まで読んでくださった方、おられるんだろーか……)

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レビュー」カテゴリの記事

コメント

ちゃんと最後まで読みましたよ!
この本、私も前から気になってたので。

以前、日経に著者のインタビューがのってたんですけど、
本と違ってすごくソフトな印象だったんですよね。

虎イメージが先行しすぎだったのかも(笑)。

yummyさま

やっぱり読んでいらっしゃいましたか。
確かに虎母って、イメージ、強烈ですもんね…。
カバー写真も腕組みしてすごい強そうだし。
笑顔でしゃべる著者を見てなんかほっとしました。

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